2008/04/30『スーパーモーニング』テレビ朝日で放送された盗聴犯の逮捕について
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2008/03/06に車で盗聴電波を捜索していた時、マンションの一室にある夫婦宅に盗聴器が仕掛けられている事を確認しました。
また、その時にもう一つ違う場所から出ている盗聴電波も確認しました。



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盗聴器が仕掛けられている部屋を特定し、インターホンを鳴らすと奥さんが出てきて、全く身に覚えのない話だったようでご主人に連絡を取り帰宅した時に説明をする事になりました。
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ご主人も全く知らない事でしたので盗聴器撤去の依頼を受け、場所を特定していくとインターホンの受話器から盗聴器が発見されました。


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この盗聴器は外せば犯人は必ず再び室内に侵入すると思えたので被害者夫婦の承諾を得て、室内2箇所に防犯カメラを設置。
1台は玄関に向け、2台目は犯人しか知りえないインターホンの受話器に向けて設置しました。

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最初に発見していた、もう一つの盗聴電波の発信源を特定すると、被害者の奥さんが勤めている調剤薬局から出ていることが分かりました。
音から推測すると盗聴器は薬局のトイレ内に仕掛けられていることが分かりました。
そこから考えられる犯人像は奥さんが勤めている薬局の社長。
薬局には社長と被害者の女性しか働いていないからです。
そのことを奥さんに伝えると勤務中にトイレ内に付いている不自然な三叉ソケットを発見しました。三叉ソケットなのに一つしか刺さっていません。
更に社長の机の下にはアンテナが飛び出しているカバンも発見されました。
中を覗くと受信機が2台とICレコーダーが1台入っていました。
これで状況証拠は揃いました。
防犯カメラ設置から39日目、薬局トイレ内の盗聴器の電波が消えました。



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ずっと仕掛けられていたと思われる薬局のトイレ内の盗聴器が消えたとなると社長が動いた可能性が高いと思われ、被害社宅の防犯カメラの映像を確認しました。
防犯カメラの映像を確認すると社長が鍵を使用して室内に侵入する映像が映っていました。
社長が室内に侵入すると真っ先に向かったのはインターホンの受話器です。
受話器を触った後、寝室に入り何かを物色している様子でした。
薬局の社長と盗聴犯が一致しました。
ここで物的証拠が揃いました。





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被害者夫婦は当然、社長を許せません。
事情を聴くために社長を被害者宅まで呼びました。
奥さんは薬局に8年も勤めていました。
社長の真意を聴くには被害者夫婦が居ては正直に話さないと思ったので全てを自供するまでは被害者夫婦には席を外してもらいました。
案の定、社長は盗聴器を設置したことを否定し始めました。
決定的な証拠を突きつけると社長は犯行を認め、薬局のトイレ内に仕掛けた盗聴器についても自供しました。
しかし、なぜ部屋に侵入できたのかと聴くと、奥さんが勤務中に奥さんのロッカーから勝手に鍵を持ち出し侵入していたとのこと。
奥さんが薬局で働いている最中に侵入していたのです。





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全て自供したので被害者夫婦にも入ってもらい、被害者夫婦も怒りを隠せない様子でした。
その後、社長に承諾してもらい、薬局内にある社長のカバンを奥さんに持ってきてもらいました。
その中からは受信機2台とICレコーダーが1台とトイレの盗聴器と別にもう一つ盗聴器が出てきました。
その後、被害者の夫婦は警察に突き出すことを決意しました。
その日の夜、社長は警察に連れて行かれ、翌日通常逮捕されました。
警察の取調べで薬局の更衣室に盗撮カメラを設置していたことも自供しました。




被疑者の供述
平成17年10月頃、盗聴器をインターネットで購入。
平成18年8月薬局を開設。
平成19年10月頃、被害者が仕事中にロッカーから鍵を不正に入手し、その鍵を使用して盗聴器を仕掛ける為に被害者宅へ侵入した。
盗聴器はインターホンの中に仕掛け、受信機で週に4~5日盗聴を繰り返した。
ICレコーダーで性行為の声を録音し自慰行為を行った。
また、薬局のトイレにも盗聴器を仕掛けていた。
今、思えば50過ぎの大人がこういう事をしたのは自分としても未熟あるいは幼稚性があったと思う。
やってはいけないと思っている自分の中に分からなければ大丈夫という考えが何処かにあったかも知れない。興味の方が気持ちを超えてしまったんだと思う。
もし、まだ見つかっていなかったら続けていたかも知れないし、すぐにはやめられなかったと思う。とにかく反省しているとしか言いようがない。
公判
平成20年6月25日に東京地方裁判所八王子支部で初公判が行われました。
罪名 住居侵入
求刑 懲役1年
判決
平成20年7月9日に東京地方裁判所八王子支部で判決が出されました。
懲役1年 執行猶予5年
裁判長から今回の事件は卑劣極まりない行為で実刑にも値するが、被告に前科がないことや慰謝料として500万円のうち、既に350万円が一時金として支払われたことから5年間執行を猶予するとの判決が出されました。
盗聴に関する法律がないので、なかなか実刑になるケースはありません。
そういった意味でも早急に法律を作らないといけないでしょう。