2009/03/03 『スーパーJチャンネル』 テレビ朝日で放送された盗聴犯の逮捕について
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2008/02に車で盗聴電波を捜索していた時、マンションの一室にある新婚夫婦宅に盗聴器が二つ仕掛けられている事を確認しました。


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盗聴器が仕掛けられている部屋を特定し、インターホンを鳴らすと奥さんが出てきて、全く身に覚えのない話だったので一緒にいたご主人にも聞いてみましたが、やはり覚えがないということでした。
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男たちが盗聴器に触るのを確認したので事情を聞いてみると、盗聴器を仕掛けたのは認めたが、何の為に仕掛けたのかは言いませんでした。
仕掛けられた住人は理由が分からないことから警察へ通報しました。





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この家は新築で右写真の様に盗聴器を仕掛ける為にクロスの内側から外側に金具部分が出ていることから、入居後に何者かに侵入されて仕掛けられた可能性が高いといえます。

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盗聴器の設置場所から考えても部屋に招かれた人間が目を盗んで盗聴器を仕掛けるのは不可能で、時間をかけてゆっくり仕掛けているところから合鍵を持っているとしか考えられない状況でした。
盗聴器を外せば犯人は必ず再び室内に侵入すると思えたので被害者夫婦の承諾を得て、室内に防犯カメラを設置しました。



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カメラを設置してから二日後、盗聴器を仕掛けたという人物から被害者の奥さんに電話がきました。
電話をかけてきたのは奥さんの古くからの友人でした。
電話の内容は『盗聴器に気がついたよね?』 『カメラを設置してたよね?』という内容でした。犯人は室内に侵入した際にカメラに気がついたとのことでした。
あとで分かったことですが、犯人は頻繁に侵入を繰り返していたので、すぐに部屋の変化に気がついたとことでした。
すぐに被害者宅へ向かって映像を確認すると、合鍵を使用し自分の家の様に堂々と部屋の中をウロウロする犯人が映し出されていました。
なぜ、鍵を作れたのか?何の目的で侵入をしているのか?
それを聞くために盗聴犯を呼び出しました。





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午後8時、盗聴犯は約束の時間に被害者宅へやってきました。
鍵の入手方法は驚くほど巧妙且つ大胆な手口でした。
被害者夫婦が沖縄で結婚式を挙げるのを知り、招待されていないにも関わらず、沖縄へ行き挙式を見ていました。
被害者夫婦が新婚旅行をしている間に被害者宅の窓ガラスを割り侵入。そのまま玄関のドアを開け、鍵のシリンダーを抜いて持ち出し、鍵屋で鍵を作成。シリンダーを元に戻してから今度はガラス屋を呼び住人に成りすましてガラスも修復。
こうして犯人は鍵の入手に成功しました。





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その後も話をしましたが、全く反省の気持ちがないどころか、話すことは嘘ばかりで真意は分かりませんでした。
最終的に盗聴器を仕掛け、電池を交換する為に頻繁に侵入を繰り返していたことは認めました。





被疑者の供述
被害者の女性とは8年前に知り合って、3年前に告白をしたが断られました。
被害者の奥さんのことが忘れられず、生活を覗いてみたいという願望が抑えきれず侵入してみたが中に入っても本人が居ないため物足りず声を聴くために盗聴器を仕掛けたということです。
1年4ヶ月の間に100~200回以上の侵入と盗聴を繰り返していました。
侵入した日や盗聴していた日のメモ書きが220枚残っており判明しました。
自分自身ではやめることは出来ず、いつかこういう日が来ると思っていたとのことです。
今では被害者夫婦に対して本当に申し訳ない事をしたと思っていますと深く反省をしています。
公判
平成21年04月24日に東京地方裁判所立川支部で初公判が行われました。
罪名 住居侵入 住居侵入未遂
平成21年05月29日に東京地方裁判所立川支部で第二回公判が行われました。
平成21年05月21日に『電波法違反』で追起訴されました。
罪名 住居侵入 住居侵入未遂 電波法違反
求刑 懲役2年6ヶ月
判決
平成21年06月05日に東京地方裁判所立川支部で判決が出されました。
罪名 住居侵入 住居侵入未遂 電波法違反
判決 懲役2年6ヶ月 執行猶予4年
今回、電波法違反の容疑でも起訴されましたが今までの盗聴犯で電波法違反で起訴されたのは2回目です。但し、初めて電波法違反で起訴されたときは判決では斥けられました。
今回の裁判では電波法違反が斥けられることはなく上記3つの罪名で判決が出ました。
電波法違反が入ったことによって量刑がどのくら変わったのかは不明ですが、今後は電波法違反での起訴も考えられるようになると思われます。
この手の犯罪は初犯では執行猶予されることが多いのですが、今回は執行猶予4年と長い判決となりました。